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株価算定 判例

京都地裁昭和 62 年 5 月 18 日決定(判時1247号130頁、金判778号41頁)
1.事案の概要
本件会社は、昭和 51 年 1 月に設立された各種織物製造販売を業とする株式会社であり、 発行済株式総数は 1000 株で、○○一族が全株式を所有する同族会社である。本件会社の最終貸借対照表上の純資産額は 5億245 万8940円であり、業績が悪化しているものの、立直りが困難と断ずるほど深刻ではない。 本件会社の株主Aは、その所有する本件会社の株式 110 株(11%)を譲渡するに際し、昭和 60 年 9 月 20 日付け書面をもって同会社に承認を求めたが、同会社はこれを承認せず、 B社を買取人と指定した。 なお、B社は、○○一族が経営する会社であり、本件会社の株式 115 株を所有する株主であるが、当該株式は、昭和60年5月24日に、Aから1 株当たり43万5225 円で買い取ったものである。

2.裁判所の判断
鑑定人○○○○は株式評価鑑定書において、本件の場合株式の価格は営業の一部の譲渡であると考えるのが適当であるから帳簿価格による純資産価額方式以外の方式を採用するのは適切でないとし、又市場性がないことによる減価率 20%を減ずべきである、として株式価格を算定している。 しかしながら、継続中の企業の資産の価額は必ずしも企業価値を表示するものではな く、したがって株式の価値を直接明らかにするものではないのであって、純資産価額方式も理論上の一方式とはいえるけれどもその一つにすぎないから、これのみを採用して他の方式を排斥するのは本件の場合適切でなく、又市場性がないとして算定した価額から更に減価するのは、もともと市場価格のない株式の評価をするに当たっては理由のないことと いわねばならないし、減価率の数値の根拠も不明というほかない。 本件においては、前記諸般の事情を斟酌すれば右各方式を併用するのが妥当というべ きであって、本件会社が同族閉鎖会社であり、当事者双方が経営支配株主といえること、昭和 60 年 5 月 24 日には同会社の株式につき当事者間において 1 株 43 万 5225 円とする 売買が成立したことがあることを考慮し、純資産価額、類似業種比準価額、収益還元価額、 配当還元価額の割合を 2・1・1・1 とした加重平均値を基準値とするのが相当である。


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